地震の日

地震の瞬間は現場から事務所に戻る車の中に居た。事務所まであと200-300m程度の交差点にさしかかっとき、山々からからぶわっと黄緑色の煙が舞い上がるの見えた。花粉症の人間としては恐怖すべき光景ではあるのだが、同時に『蟲師』の「山抱く衣」の話に出てきた「産土」の煙を彷彿とさせる幻想的な風景であった。だが、風は吹いていたのだがそこまで花粉が飛ぶほどのものでもない。一方、運転者が風にしては異常にハンドル取られるんだけど、と言う。言われてみると確かに、走行によるものとは違う揺れ方をしてる気もする。どうも、風ではなく地震で木が揺れて花粉が舞い上がったらしい。
■車の中で揺れてるのがわかるって凄いでかくない!? などと言っていると、ラジオが栃木県内激しく揺れています、ドライバーの皆さんは速やかに路肩に寄せて停車して停車してくださいと騒ぐ。車は既に事務所の駐車場入り口にさしかかっていたのでラジオの警告は無視。中に入ると事務の人たちがみんな駐車場に出ている。壁が剥がれただの、テレビが飛んだだの興奮気味に語られる。その間もずっと地面が揺れている。むちゃくちゃに長い。
■もう、今日は通常の仕事は無理。余震の続く中、天井や壁を気にしつつ天井の破片の清掃や、棚から落ちた書類の片づけ。
■あまりにも頻繁に余震が来るので、実際に揺れているのか陸酔い状態で揺れてるように感じるのかわからなくなる。区別する方法は窓や建具がガタガタ言うかどうか。
■鉄筋コンクリートの事務所でも棚の中身が散乱したので、道路をトラックが走るだけで地震の様に揺れる自宅はさぞかし凄まじいことになっているだろうと想像していたが、実際のところスチール本棚の最上段の本が落ちただけで済んでいた。ただし、iMacはテーブルの端からスタンドがはみ出してかなり際どい状態。
■テレビで何回も繰り返される津波の映像。今は人命救助が第一だろうが、復旧も大変だ。海水に浸かった田畑は再び作物を作れるまでにどれくらいの時間を要するのか。陸地の奥深くまで流された船舶や倒壊した建造物の除去。家財道具を一切失った人たちの生活再建。今どきの経済状態で家屋を再建できる人はどの程度いるのだろう。